懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
「コナヒキーの旦那!」

「わしらはもう我慢ならんです!」

そのような複数人の大声が聞こえてくるが、一体、何事だろう……。


急いで玄関ドアを開けたラナは、碧眼を丸くして「あっ」と声を上げた。

広い前庭には農家の男性たちが集まって、手にはすきやくわ、先を尖らせた木の棒を持ち、一揆さながらの様相で気色ばんでいるのだ。

その数は六十人ほどである。


彼らがコナヒキー家の主人を囲んでなにを訴えているのかといえば、どうやら鍛冶屋組合のことのようだ。

今朝方、農民の親子が小麦袋を荷車に積んで馬に引かせていたら、鍛冶屋の若い男に絡まれたらしい。

『泥にまみれた汚ねぇ服着て、町に入ってくんじゃねぇ!』と怒鳴られ、馬に石を投げられたと話している。

馬が暴れて荷車がひっくり返り、小麦が台無しになってしまったのだとか。

そういう嫌がらせは、一度や二度ではないという口振りでもあった。


我慢できないと訴え、武装して集まった農民たちと同じように、コナヒキーも険しい顔をしている。

しかし意外にも、「待て待て。みんな落ち着くんだ」と、なだめようとしていた。


「わしもはらわたが煮えくり返っているが、力で争って怪我人が出るのは好かん。だから伯爵に訴えている。領主に、わしらの方が鍛冶屋より立場が上だと認めさせれば、奴らは大きな顔をしてはいられまい。正攻法で鍛冶屋を懲らしめてやろう」

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