懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
翌朝、九時。
ラナたちは旅の荷物をひとまとめにし、いつでも出発できる格好で二階の廊下に集合していた。
「朝食も済ませたし、宿屋に空き部屋があることもチェック済み。これでいつ追い出されても問題ないわよね。さて、説教タイムよ。まずはジュリエッタの父親からね」
右手をグッと握りしめてやる気満々のラナを、止める者はもういない。
ロメオとジュリエッタの恋を両家の親が邪魔しているだけではなく、小麦生産関係者対、鍛冶屋組合という、大きないさかいがあるとわかったからだ。
「昨夜の酒場では、テッコーマンが物騒な発言をしていたな」とカイザーが真面目な顔で言えば、イワノフが頷いて丸眼鏡のブリッジを押し上げる。
「両者が正面衝突して多くの血が流れる前に、解決せねばならん問題のようじゃ。厳しく諭してやりましょうぞ」
大きな布袋を背負ったグリゴリーと、ラナのマントに付いている糸くずを払っていたオルガも「参りましょう」と頷いたら、五人は一階へ下りる。
玄関ロビーには、掃除中のメイドがひとりいた。
彼女に声をかけ、家主の居場所を尋ねれば、「ご出発のご挨拶ですね」と勘違いされ、快く教えてくれる。
「旦那様でしたら、この時間は倉庫前にいらっしゃると思います。仕事の指示を出している頃かと」
メイドがそう言った直後に、急に玄関の外がガヤガヤと賑やかになった。