懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
そんな様子だから舐められるのだと呆れるラナであったが、この場で伯爵を非難することは得策ではないと考える。

領民たちを統治する偉大な存在として認識されなければ、コナヒキーとテッコーマンは言うことを聞かず、この争いが繰り返されると思うからだ。


それでラナは、柔らかな声で問いかける。

「ルーモン伯爵、あなたはご自分の領地をどのように繁栄させようとなさっているのかしら? 小麦生産と鉄工業、どちらかひとつを守り育て、もう一方は衰退しても構わないとお考えなのかしら?」


すると伯爵は焦りを顔に浮かべ、力のない声でたどたどしく否定する。

「いえ、そのようなことは……。私も、父や祖父のように両産業を中核に……」


言葉尻まではっきりと主張しないのは、彼が元から気弱な性分であるためだろう。

イラついて眉を寄せたラナは、我慢できずに語気を強め、「両方大事にしたいのか、そうじゃないのか、はっきり言いなさい!」と叱ってしまう。


「は、はい! どちらの産業も大切にしていきたいと考えております」


ルーモン伯爵が背筋を伸ばして慌てて声を大きくすれば、上品な作り笑顔を浮かべた彼女が、「では、お立ちなさい」と命じた。
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