懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
「まずは、アバズレなどと、ジュリエッタを侮辱したことを詫びなさい。彼女はとても清らかよ。話せばわかる。純粋な人柄が滲み出ているわ」


するとテッコーマンは、「へい、謝ります」と簡単に応じる。

「俺は口が悪いんで、勘弁してくだせぇ。本当はあの娘がいい子だとわかっておりやす。申し訳ありません」


拍子抜けするほどにヘコヘコと平謝りするテッコーマンに、ラナは満足しているけれど、鍛冶屋の男たちがザワザワし始める。


「小麦野郎の娘に謝るなんて、旦那らしくない」

「いつもの勇ましさは、どこへいっちまったんだ?」

そんなふうに文句を言う声が、ラナの耳にも届いていた。


ムッとした彼女は、「うるさいわよ。お黙りなさい!」とピシャリと言って鍛冶屋集団を閉口させると、彼らに向けて問いかける。


「あなたたち、鉄を食べて生きているのかしら? パンやパスタは食べないの?」

「い、いや、食べてますけど……」

「新鮮で安心できる食材を安価で口にできるのは、農民たちが汗水垂らして生産してくれるおかげよ。これからも美味しいパンが食べたいのなら、もっと作り手に感謝しなさい」


鍛冶屋たちがぐうの音も出せずに頷くのを確かめたラナは、今度は「ルーモン伯爵」と、数歩先で片膝をついている元凶に呼びかけた。

「は、はい……」と顔を上げた伯爵は、情けなくも青ざめて震えている。
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