懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
手の中の銀貨を見た男は、迷いを顔に表していたが、「あいにくだがーー」と断ろうとしている。

そうはさせまいとするイワノフが、今度は金貨を取り出してチラつかせ、「見学が終わった後には、お礼に渡そうかの」と目を逸らして独り言を呟いた。

すると金貨につられた門番は、急に愛想のいい顔をする。


「旦那、少し待っておくんなせぇ。ちょうど中にイブシゲルさんがいるんで、伝えてきやす」


門番は走って建物に入っていき、数分すると、小太りで目が細く五十歳くらいと思われる男を連れて戻ってきた。

その男はワインレッドの立派な上着を着て、襟をシルクや宝石で飾り、金持ちであることが一目でわかる格好をしている。

簡素な装いのラナたちを一瞥した男は、フンと鼻を鳴らすと、「私がイブシゲルだ。食肉加工業者というのはお前たちか?」と横柄な態度で問いかけてきた。


ラナは作り笑顔を絶やさないよう気をつけているが、内心穏やかではない。

(悪党のくせに堂々としてるわね。こっちは麻薬密造の秘密に気づいているのよ。今すぐギャフンと言わせてやりたいわ……)
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