懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
そのように、心の中では既に臨戦態勢に入っているのだが、証拠を掴むまでは我慢だという意識も忘れてはいなかった。


けれどもラナの努力の甲斐もなく、見学の交渉をすれば、イブシゲルはあからさまに迷惑顔をする。

そして「部外者の立ち入りは禁止だ。さっさと田舎町に帰れ」と冷たく言い放ち、背を向けてしまったのだ。


その不躾な態度にラナは鼻の付け根に皺を寄せたが、ここで怒りをぶつけても見学させてもらえるわけではない。

それで機転を効かせ、隣にいるカイザーに大きな声で話しかけた。

「ほら、だから言ったじゃない。同業者はライバルだもの、見学は断られると思うわよって」


するとラナの狙いをすぐに理解したカイザーが、話を合わせる。

「よっぽど見せたくない、特別な秘密の製法があるんだろうな。それだけはわかった。この工場について知りたがっていた仲間たちに、そう伝えておくか」

「そうね。秘密にしたいことがあるらしくて見せてくれなかったと、あちこちで話すことにするわ」


工場内に戻ろうとしていたイブシゲルが、ピタリと足を止めたのは、おそらくマズイと思ってのことだろう。

燻製方法を秘密にしているという情報だけなら、どこで話されても彼が困ることはない。

しかし、それ以外になんらかの隠し事をしているという噂が広まれば、麻薬密造に気づかれる発端となるやもしれず、イブシゲルにとっては危うい事態だ。
< 139 / 225 >

この作品をシェア

pagetop