懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
けれどもラナは目を輝かせ、「私が行くわ!」と早くも張り切っている。

それを無視したカイザーが、「ここは無理か」と諦めて歩きだせば、ムッとしたラナが大きな背中に向けて声を大きくした。

「なんでよ! どう考えても私が適任じゃない。侵入役をやらせてよ!」


慌てて振り向いたカイザーに、「馬鹿、聞こえるだろ」と口を押さえられたラナだが、それでもまだフゴフゴと文句を言い続けている。

そんなふたりを見守るイワノフは、なにやら難しい顔で考え始めた。

「姫様を危険にさらすわけにもいかんし、全員で荒々しく踏み込めば、証拠を隠滅されるおそれがあるからの……」


しばらくその場に佇み、ブツブツと独り言を呟いていたイワノフであったが、取り敢えずの結論が出たようで、皆に向けて口を開く。

「他に侵入経路がないか、ひと回りして確かめたら引き揚げるとしようかの。現時点では情報が足りん。見張りの人数と配置、夜の状況を見て、作戦を立てるのが賢明じゃろう」


それから半日ほどが過ぎ、夜のしじまにふくろうの鳴き声が時折聞こえている。

宿屋を出たラナたちは、工場の鉄柵越しに中の様子を、かれこれ一時間ほど窺っている。

予想していた通り、夜間は日中より警備が厳重でなかなか侵入できないでいた。
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