懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
その時、先頭を歩いていたカイザーが、「あったぞ」と足を止めた。

なにがあったのかというと、侵入できそうな場所である。


敷地を囲う鉄柵は高さが四メートルほどもあり、先端は槍のように尖っていて、やすやすと越えることはできない。

麻薬密造はおそらく夜中の作業なので、静かな時間帯に飛び越えたり、はしごをかけたりすれば、物音に気づかれる可能性がある。

日中とは違い、工場周囲の警戒も厳重であることだろう。

それで、こっそりと侵入できそうな場所がないかと探していたのだ。


カイザーが見つけたのは、鉄柵の一本が、おそらくは動物の糞尿で腐食し、折れてできた隙間である。

成人男性は無理だが、子供や細身の女性なら、潜り込むことができそうに見えた。


となると、オルガとラナしか、ここからの侵入は無理である。

オルガは戦いは不得手なので、万が一を考えると行かせられない。

一方ラナなら、剣の腕が立つので見つかったとしても簡単には捕まらないはずだが……大勢の男たちに囲まれて、無傷で逃げ切れる保証はない。

王女ひとりに侵入役をやらせるわけにはいかないと、誰しもが思うところであった。
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