懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
「皮膚病と工場の関係は、少し調べればわかることじゃ。だが、領主は無関心なほどに放置しておる。それはなぜゆえか……」


それは、オルガも不思議に思っていたことである。

神妙な面持ちのイワノフを見てオルガはコクリと喉を鳴らし、「侯爵もグルだということですか?」と恐る恐る問いかけた。

カイザーとグリゴリーも、後ろでハッとした顔をしている。

けれどもラナだけは、「まさか」と笑った。


アダモビッチ侯爵は、どんな貴族にも好かれる人徳者である。

他の四人は侯爵と面識がないから疑うのかもしれないが、ラナは宴の席で楽しく会話したことが数回あった。

その時の朗らかな侯爵の顔を思い出すと、疑う気になれないのだ。


イワノフも侯爵が麻薬密造に関わっているとは言わず、オルガの問いに首を横に振る。

「今の時点では、敵か味方か判断できん。だからこそ、我々だけで証拠を掴まねばならん」


万が一、侯爵がイブシゲルの仲間であった場合、事情を話してしまえば、踏み込む前に麻薬密造の証拠を消されてしまうだろう。

賢者の目には、その可能性が見えているようであった。
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