懲らしめて差し上げますっ！～じゃじゃ馬王女の下克上日記～

「過去に問題があったのだとしても、もう解決済みなんじゃないの？」とラナが気楽な見解を述べた時……急に窓の外に怒鳴り声がした。

上げ下げ式の窓は半分ほど開けてあり、夜が訪れようとしているこの時間は、涼やかな風が吹き込んでいる。

ラナとオルガは反射的に窓辺に駆け寄り、二階から前庭を覗けば、コナヒキー家の主人が、ひとりの青年を怒鳴りつけ、追いかけ回しているのが見えた。


「うちの敷地に足を踏み入れることは許さんぞ！　テッコーマン家のクソガキが。ジュリエッタに今度近づいたら、石臼ですり潰してやるからな！」


追われている青年は慌てた様子で、門から飛び出し、その姿はすぐに見えなくなった。

それでも怒り冷めやらぬといった様子のコナヒキー家の主人は、拳を振り上げて怒鳴り続けている。

一緒に食事をした時のにこやかさはどこへ行ったのか、と問いたくなるほどの変貌ぶりであった。


それを、少し離れた庭木の陰で見ているジュリエッタの姿もあった。

目元を拭っているところを見れば、泣いているようである。

「どうしたんだろう……」とラナが驚いて呟けば、オルガが顎に手を添えて、淡々と状況を分析し始める。