懲らしめて差し上げますっ！～じゃじゃ馬王女の下克上日記～

「娘に言い寄る青年を父親が追い払ったようですね。おそらくふたりは恋仲なのでしょう。彼女は父親に反対されたことが理由で泣いているように見えます。父親の言葉からは、青年が気に入らないというより、彼の家柄に嫌悪を抱いているのが窺えます」


それを聞いたラナは、ジュリエッタに同情の視線を向けつつ、可愛らしい顔をしかめた。

「問題あったね。なんとかしてあげないと……」と拳を握りしめ、介入する気が満々である。

そんなラナの様子にオルガは目を瞬かせ、脱線しかけている主君を、正しい道へ引き戻そうとして口を開いた。


「問題といえば問題ですが、資料に書かれていた町を二分する対立とは、無関係だと思われます。この家族のことより、まずは国王陛下のミッションを……」


けれども、オルガの指摘はラナの心に届いていない。

お人好しですぐに熱くなるのがラナの長所であり、同時に短所でもある。

「ジュリエッタに話を聞いてくる！」と叫ぶように言い残したラナは、オルガの制止にも耳を貸さず、あっという間に部屋を飛び出してしまった。