こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
「お父さん、私……最上さんと結婚する。決めたの、だから早く少しでもよくなって、式にも来てくれなきゃ……誰がヴァージンロードを一緒に歩いてくれるの?」

我慢していたけれど、声が震えて涙声になってしまう。すると、父の目尻から雫が湧き出てすっとこぼれた。どことなく口元にも笑みが浮かんでいる。

「お父さん!」

ぎゅっと父の手を握ると、それに応えるようにわずかに父が私の手を握り返した。それだけでも嬉しくて、ほっとして涙が溢れた。

「ふたりともご結婚されるんですね、ああ、それはめでたい! 最上さん、今後ともよろしくお願いします。酒井社長、SAKAIはソニリアとの友好買収によって首の皮一枚で繋がりましたよ」

中西さんは来月からソニリアの専務取締役として引き抜かれることになっている。彼は昔から父の右腕として傍にいてくれた人だ。信頼も厚い。ソニリアでも存分に活躍してくれるはずだ。

「期待していますよ、中西専務」

最上さんが言うと、中西さんは少し照れくさそうに笑った。
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