こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
中西さんが病院を後にすると、急にお腹が空いてきた。

そういえば、朝食も食べないで鳳凰亭出てきちゃたから……せっかく用意してくれていたのに、悪いことしちゃったな。

真人さんは「そんな、代金なんて頂けないです」と言って遠慮していたけれど、最上さんはきっちり昨夜の花代と宿泊費用を支払った。

「最上さん、お腹空きませんか? 病院の食堂、もう開いているはずですから」

一般の面会時間も開始になり、院内は土曜ということもあってか面会者で少し混雑していた。

「そうだな、なんかホッとしたら腹減ったな」

「じゃあ、行きましょうか」

そう言って病室を出ようとしたときだった。

「失礼します」

ドアが開き、思わぬ面会者の登場に私も最上さんの動きもぴたっと止まった。

「き、ざき課長……?」

黒ニットにベージュのコートを着て、ジーンズ姿の木崎課長が静かに頭を下げた。
久しぶりに見る木崎課長は少し痩せこけ、頬骨も浮き出ている。私が最後に会ったときよりも生気があまり感じられない。
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