こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
「そう言うお前こそ、よく木崎を許したな」

まるで子どもを褒めるみたいに最上さんが私の頭をそっと撫でた。けど、「子ども扱いしないでください!」なんて反抗じみた言葉はでない。優しく撫でられながら私は頬を染めた。

「誰かを一生恨んで生きるより、最上さんのことをずっと愛しながら生きていくほうがいい人生を歩めるんじゃないかなって思ったんです」

「っ……お前な、そんな可愛いこと言う女だったか?」

最上さんは口元を歪め、私に見られたくなかったのか隠しきれない照れた顔を、耳まで真っ赤に染めてプイっと窓の外に向けた。

ふふ、こういうときの最上さんって意外と可愛い。

そんなことを言おうものなら、なにをされるかわからない。だから、その言葉はそっと自分の胸にしまっておくことにした。

そして信号が青になると、最上さんは再びアクセルをゆっくりと踏み、小さく咳払いすると話を続けた。

「まぁ、ひとつくらいなにか生きがいを残してやってもいいんじゃないかって気になっただけだ。だたし、お前に指一本でも触れたら即刻クビだけどな」

少しおどけた顔でニッと笑うと、私もつられてクスリと微笑んだ。
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