こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
木崎課長と身体の関係を持ったのは、会社の飲み会の後だった。今でも覚えているけれど、酔った勢いというのは本当に無責任ななれゆきだと思う。木崎課長に「あれは酔った勢いだったから……」「その時は酔っていて……」と聞いてもいない弁解を何度されただろう。だから、ついこのまま雰囲気で流れてしまいそうになりながらも、行為をやめた最上さんは少なくとも良識のある人物なのかもしれない。

「少し休め」

「最上さんはどこで寝るんですか?」

「リビングのソファ」

それだけ言うと、パタンと部屋のドアを閉めて出て行った。

それにしてもここはどこなんだろう。最上さんのマンションであることはわかる。寝室の窓からは深夜の夜景が見えるけれど、ランドマーク的なものは全く見えない。

私は自分のスマホをバッグから取り出すと、位置情報を確認した。すると、そこに示されていたのは、六本木のコールセンターからほど近い広尾周辺だった。
広尾といえば大使館、インターナショナルな街というイメージだ。高級住宅地でこんな敷居の高い場所に自宅マンションを持っているなんて、なんだか最上さんが雲の上の人みたいに思えてきた。
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