こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
信じられなかった。きっと外で喋っているのは香奈じゃない。そう思いたかったけれど香奈と呼ばれているからには間違いない。

「香奈って腹黒! 酒井さんと仲良かったんじゃないの?」

「冗談。ちょっと仕事ができるからってちやほやされてさ、前からムカついてたんだよね。凛子ってうちの部署に友達いないじゃない? 仲良くしてたのだってボランティアみたいなもんだよ」

なに、それ……ボランティア?

「うちの部署の男性社員、みんな凛子のことあまりよく思ってないの知ってる? 入社一年目でプロジェクトメンバーに選ばれたからって、ミーティングでバンバン男性社員に意見するし、生意気だってずっと言われてたんだから。友達少ないのも納得でしょ?」

香奈が声を高くしてケラケラと笑う。

確かに新人の頃は失恋の痛手を忘れようと仕事に没頭していた。希望通り企画部に配属されたんだから、頑張って自分をアピールしていかなきゃ。そう思っていたけれど、どうやらそれが裏目に出ていたようだ。時々、先輩社員や同僚に素っ気ない態度を取られて辛い思いをしたこともあったけれど、それが原因だったなんて知らなかった。
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