こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
私、自分のことばかり考えて、周りが見えていなかったのかな……。

立っていられなくて思わず便座に座り込んでしまった。香奈の衝撃的な言葉がぐるんぐるんと頭の中で回っている。

ほら、やっぱり……信じるから裏切られるんだよ。

もうひとりの私がそう語りかける。

一緒にランチしたり仕事の悩みをしたり、飲みに行ったりもしたのに……全部、嘘だった。
そして私のことを話題にしながら香奈たちが去った後、よろっと個室から出る。

香奈が、私のことをそんなふうに思っていたなんて。

入社してからずっと仲のいい友達と思っていたのに……。

放心状態のまま会社の外に出ると夜空に星はなく、どんよりとした分厚い雲に覆われていて今にも雨が降りそうだった。

とにかく今は自分のやることやらなきゃ。

傷ついた心を押し込んで、私は荻窪の自宅へ向かうことにした。
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