Green Apple
そう思った時、すでに視界が揺れはじめた。
(………やべ。足がじっとできない、かも。)
足にこそばゆさというか、じっとできない感覚を感じていると、
あ、今誰かが後ろでおならをした。
くすくすと笑いが広がる。
(…どうせポン太だろ。)
そう心で思う。
それより俺は、笑えねーよ。 気力が、ない。
キーンコーンカーンコーン…
4限終わりのチャイムがやっと鳴った。
今の今まで校長の話があっていたが、本当に長かった。
はやく、保健室に行こう。
校長の話が終わり、
嘘だろと思いながら先生が連絡事項を話し始め、
やっと、解散の合図と給食当番急げと言った後、
1歩踏み出した途端、俺は倒れた。
意識は、バッチリある。
が、目は必然的に閉じた。
やはり、
周りの慌て具合はすごい。
色んな奴が寄ってきているのが分かる。
そして、多分6年の中で1番体つきが大きく、
鍛えている、とは真逆のぷよぷよの体をした、
あっ、さっきおならもしたであろう、
ポン太が俺をおんぶして運んでいると思う。
ポン太のやつ、相変わらず汗臭いな…。
背中がびしょびしょだ。
それよりやべぇな。
今度こそ意識が朦朧としてきた気がする。
熱中症、脱水症、熱中症、脱水症…。
そういえば、
熱中症でも死ぬらしいってニュースで言ってたっけ。
そうか、死ぬのか俺。
母ちゃん、父ちゃん、姉貴、
先立つ不孝をお許しください。
最後にもう1度母ちゃんのハンバーグ食べたかった。
父ちゃん……はメタボに気をつけねーとな。
姉貴は香水臭すぎるよ。
あぁ、山内。
こうなると分かっていたのなら、
もっと話しかければよかった。
…なんて大げさ、かな?