真実(まこと)の愛

「あ、上林(かんばやし)さんっ!
チームリーダーが来られましたよっ!」

紗英が声をあげて手招きする先へ、麻琴は視線を送った。

紗英と同じくらいの年頃の男が椅子から立ち上がる。

ダークブラウンの髪をした彼の身長は、ヒールを履いた麻琴とさほど変わらないから、一七〇センチ代前半だろう。
イマドキの若い男子によく見られる、表情の変化の乏しい、なにを考えているのかよくわからない感じの青年だった。

「……上林 俊太(しゅんた)です。商品企画の担当になりました」

彼はぼそり、とつぶやいた。

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