真実(まこと)の愛

今までの麻琴は製品(プロダクト)デザイナーとして、企画として出された商品のデザインだけをやっていればよかった。

ここ三年ほど所属していた文具部門のMD課・青山チームでは、チームリーダーの青山(あおやま) 智史(さとふみ)が考えた企画を、彼の意を汲んでひたすら「かたち」にしてきた。

実は青山は商品企画なんて畑違いもいいところで「本業」はシステム管理だ。

この度の人事異動で彼もまたMD課を去り、課から部に昇格した情報システム部の初代部長に着任した。

課長職をすっ飛ばしての部長就任は、魚住部長よりももっと異例の大出世だ。
しかも最年少である。

そんな彼ではあるが、MD課では自身が学生時代に勉強しているときに常々思っていた「こんなふうになっていた方が便利じゃないのか?」というものを次々と企画し、商品化させ、さらには定番化させていった。

もちろん、課内ではダントツの売り上げトップだった。

そして、その青山と麻琴は、ここ二年ほど「オトナの関係」にあった。

いわゆる……セフレだ。

< 12 / 296 >

この作品をシェア

pagetop