真実(まこと)の愛
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……守永さんと一緒なら、てっきり居酒屋だと思っていたのに。

「麻琴の行きつけの店でいいよ」というので、Viscumにやってきた。

見慣れない男を連れて入ってきた麻琴を見ても、

「いらっしゃいませ、渡辺さま」

顔色一つ変えずに出迎えてくれた杉山は、いつもの「通常営業」だ。

「あ、あの……会社の上司なのよ。守永さんって言うの」

それでも、一応言っておく。
そして、守永をカウンターのハイストールに促した。

「守永さま、ようこそお越しくださいました。
杉山と申します」

杉山はそう言いながら、カウンターの向こうからおしぼりを差し出す。

「麻琴がいつも厄介になってるらしいね。
こいつ、酒は強いけどさ。ほどほどのところで切り上げさせて、うちへ帰らせてやってくれよな」

片手でおしぼりを受け取った守永は、もう片方の手で麻琴の頭を、ぽんぽん、とした。

……ひいいぃっ、なんてことするのよっ!

「守永課長、セクハラです。それと、呼び捨てはやめてください」

麻琴はぎろり、と睨んだ。

だが、守永は一向に意に返さず、杉山から渡されたドリンクリストを見て、
「へぇ、沖縄に行かなくても呑めるのか」
とつぶやいて、オリオンドラフトを頼む。

麻琴は彼を睨んだまま、サッポロのヱビス・プレミアムエールをオーダーした。

こんなにマイペースで営業職が務まるのか、と麻琴はいつも不思議に思うが、どういうわけか守永の営業成績は大阪支社の時代からトップクラスだった。

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