真実(まこと)の愛

不意に「永久不変」だと思われた杉山の表情が、なぜかほんの一瞬だけ、崩れた。

彼の視線は店の出入り口にあった。

「いらっしゃいませ……恭介さま」

……えっ?

ハイストールをくるりと回転させて、麻琴は振り返った。

パリコレのモデルのような端正な顔立ちで、明るいブラウンの髪に灰緑色の瞳。
見るからに気品のある生地を使い、イギリスはサヴィル・ロウ仕立てのスリーピースをさりげなく着こなす男性。

まさしく……松波だった。

……どうして?

そして、その「隣」には、まるでそこだけにスポットライトが当たったかのような輝きを放つ、圧倒的な美女が寄り添うように立っていた。

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