真実(まこと)の愛

だが、そんな二人にも別れのときが来た。

きっかけは、麻琴が(株)ステーショナリーネットに就職して、配属先が大阪支社になったことだが、麻琴はそこで……魚住に「出逢って」しまった。

最初から最後までまったくといって見込みがなかったにもかかわらず、麻琴は「初めての恋」に夢中になった。今まで芝田に抱いていた思いが「恋」ではなかったことを、はっきりと知った。

もう魚住のことしか考えられなくなった麻琴は、
東京で待つ芝田に別れを告げた。


そしてその後、魚住に大失恋してしばらく荒れた生活を送り、さらに数年後には本社に転勤となって東京に戻ってきたが、麻琴は芝田とは一切、連絡を取らずにいた。

麻琴はそのとき、不毛なセフレの青山に「二度目の恋」をしていた。

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