真実(まこと)の愛
「『これから』のクリエイターと社会貢献するNPOがコラボしての商品開発か。
……コンセプトはよくわかったよ」
芝田は麻琴の「プレゼン」を聞いて、にやりと笑った。
「おもしろそうだな。世に出たい若手にはもってこいのチャンスだ。ボランティア関連はイメージ的にもいいしな。これで成功すれば、今後、一般企業に売り込むときに『使える』キャリアになる」
芝田は「プロデューサー」の目をしていた。
最近は自ら制作することと並行して、真新しい可能性をプロデュースするおもしろさにも目覚めてきたところだった。
「じゃあ……淳が有望視するクリエイターをピックアップしてもらえるのね?」
麻琴から堅さが取れ、あの頃のような無邪気な顔になる。
「ほかでもない、麻琴の頼みだからね。一肌も二肌も脱ぐよ」
ひさびさに麻琴のそんな顔を拝めた芝田は、思わず破顔する。目尻にはあの頃にはなかった歳相応のシワが浮かんだ。
「麻琴の話を聞いているうちに、おれの中ではすでにもう何人か候補に挙がってるんだ。
……早速、そのテーマに沿ったクリエイターにあたってみるよ」
業界に新風を巻き起こすマルチクリエイターは、さすがに仕事が早かった。
「ほんとに?……こんなに早く動いてもらえるなんて、思ってもみなかったわ!ありがとう」
いつもは低めで落ち着いた麻琴の声が、1オクターブ上がっていた。