真実(まこと)の愛

「……といっても、僕はもう絶対にきみを、逃しも離しもしないけどね」

そう言って、恭介はあの「黒い笑顔」を復活させた。

「僕はね、きみが一回離れて行きそうになったときに、思い知ったんだよ。
きみのいない僕の人生なんて考えられない、ってね……だから、もういい加減、ずーっと僕をきみの(そば)にいさせてよ?」

恭介はワインレッドのジュエリーケースから、ゴールドのアームに1カラット以上(アップ)のエメラルドカットのダイヤモンドが輝く婚約指輪(エンゲージリング)を引き出した。

そして、麻琴の左手を取ってその薬指にぐーっと()め込む。


「ちょ、ちょっと……恭介さんっ⁉︎」

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