真実(まこと)の愛
だけど、だれかには話したい。
たとえ、解決策が見つけられなくても、話を聞いてくれるだけでいい。
しかし、それでなくても新興のこの会社は平均年齢が若くて、呑みに行ったとしてもどうしても「聞き役」になってしまう。さらに「管理職」になった今、おいそれと「部下」たちに腹を割ってグチるわけにもいかない。
「だよね……あ、今度さ、女子会しない?美咲さんも呼んで」
稍が胡麻だれドレッシングのかかったサラダを箸休めにしながら「提案」する。
白いレンゲでミニチャーハンを掬っていた麻琴の顔が、パッと華やぐ。
「いいわね!」
……さすが、ややちゃん!わかってくれてる。
この会社に来るまでは大手の証券会社に勤務していて「主任」だったという稍は、麻琴よりも一つ上だった。
そして、「美咲」というのはPB事業部の魚住部長の妻の名だ。魚住の同級生だった彼女は、麻琴より三つ上である。
……何の因果か、あんなに好きだった魚住さんと青山さんをかっ攫っていった女たちと、こんなに仲良くなるなんてねぇ。