真実(まこと)の愛

しばらくヒューガルデン・ホワイトを呑んでいると、背後に気配を感じた。

麻琴の隣のスツールに手が掛かった。

「ごめん、待たせたね……麻琴さん」

麻琴はスツールを四分の一ほど回転させ、一八五センチはあろうかという長身のスーツ姿の男を見た。

見るからに仕立ての良さそうなチャコールグレーのスーツは、店の照明の加減でシャークスキンの布地が微妙な光沢を放っている。

「大阪で学会があってね。これでも、がんばって早く帰ってきたんだけどなぁ」

灰緑色の瞳を少し曇らせた彼が、明るめのブラウンの髪をかき上げながらつぶやく。

「……いえ、お忙しいのはわかっていますから」

日本人離れした顔立ちから、どう見てもパリコレなどのモデルにしか見えない彼に向かって、麻琴はにっこり微笑んだ。

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