真実(まこと)の愛
「あ、ピンキーリングっていうの?
小指にする指輪ね。そのくらいのものだったら、プレゼントしても別に重たくないでしょ?」
松波はこともなげに言うが。
……いやいやいや。
「松波先生、受け取れません!」
麻琴はあわててカウンターに箱を置き、アメリカンブラックチェリーの木目に沿って松波の方へ押し戻した。
「……気に入らなかったかな?
きみの誕生石のオパールなんだけど」
松波がカウンターに頬杖をつき、灰緑色の瞳を上目遣い気味にさせて麻琴を見る。
「麻琴さん、この前さ、
『しあわせいっぱいのややちゃんが誕生石のピンキーリングをしていて、ラッキーアイテムだ、って言ってたからわたしも買おうかな』
って、話してたよね?」
……確かに、この前先生とここで呑んだときに、めずらしくちょっと酔ってしまって、そんなことを口走ったわ。
それだけではなかった。
愛する人を手に入れて、キラキラと輝く稍がうらやましい、と。
自分も早く、彼女のように輝きたい、と。
仕事も大事だけれども、オンナとしてのしあわせもほしいのだ、と。
……うっわぁ、こっ恥ずかしいっ!
「それとね……」