真実(まこと)の愛

「……そろそろ、次へ移られますか?」

チャームのミックスナッツを差し出した杉山が、二人のビアグラスを見て尋ねる。

「そうだな」

「ええ、お願いするわ」

杉山が「かしこまりました」と応じて、ボトルが並んだ後ろの棚へ振り返った。

「……でも『サプライズ』はもう一つあるんだ」

松波がいたずらっ子の顔に復活させた。

そして、隣のスツールに置いていたホワイトハウスコックスのブライドルレザーのダレスバッグから、リボンのかかった小さな箱を取り出した。

「はい……麻琴さんに、昇進のお祝い」

磨き込まれた無垢のアメリカンブラックチェリーのカウンターの上に置く。

麻琴は渡された小さな箱を手に取り、サテンのリボンを、するりと解いた。

そして、箱をぱかりと開ける。


……すると、中からキラキラ輝く指輪が現れた。

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