最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
アカーン! 何たる失態! エヴィエニスが食べた大量のカップ麺の容器をそのままにしていた。
 しかも、テーブルは飲み食いした状態のままだ。
 これでは、ここに私以外の誰かがいて、一緒に食事をしていたことが容易に推測されてしまう。
 ゴミ箱に投げ込んでおくべきだった。いきなり、やってしまったぞ。
 誤魔化さないと! なんとしても、シラを切り通さないと!

「しょ、食欲だけはやたらとあってね! いや~、自分でも買い置き分、全部食べちゃうとは思わなかったなぁ~」

 言っている自分でも泣きたくなるレベルの苦しい嘘だ。
 功一郎はテーブルの上のカップと湯飲みを観察するようにじっと見つめている。

「ふーん、そうなんだ。湯飲みとカップが出てるけど、僕が来る前に来客があったの? 姉さんを訪ねるような親密な関係の人なんていた?」

 功一郎が眼鏡のつるを押し上げると、カチャリと音を立てた。
 酷い言い草だが、事実だから反論できない。
 功一郎は、私が喪女なことも、リア友がほとんどいないのも把握済みだ。
 重度のシスコンが仇になるなんて――。
 弟が世話を焼いてくれて便利! なんて思っていたぐうたらな自分を殴りたい。
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