最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
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マンション3階の奥から数えて、3つ目のドア。
その前に、私は立っていた。
この部屋は? と誰かに聞かれれば私は迷わずこう答えよう。
ここは、私が借りている部屋。つまり、私の家であると。
やむなく仕事を早退し、とある場所へ寄った私は、通勤カバンとは別に、買い物袋を3つ肩から下げて帰宅した。
自分の家のまで何をしているか?
今、私はドアを開けるタイミングを見計らっているのだ。
「ふぅー……よし!」
深い息をついて、心を落ち着ける。意を決して、鍵穴に挿した鍵を回す。
ガチャッとドアを開けて、真っ暗な玄関に一歩入ったところで、
「ビャアアアアアッーーー!?」
何が起きても、絶対驚かないぞと言う決心も虚しく、盛大に叫んでしまった。
思い出してみれば、昨夜から、ずっと叫んでいる。
両隣の部屋には絶対聞こえているだろうし、そろそろ大家さんを召喚されそうで怖い。