最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~

 深夜の出来事だったが、あの時間帯でも出歩いていた人が確実にいたはずだ。
 その人達が、空を飛ぶ巨大な生き物を見ていたら……確実にパニックが起きる。
 通報を受けて警察が出動し、朝一番のニュースで取り上げられたりして。
 朝は忙しくて、気にする余裕もなかった。
 でも記憶では、誰も騒いでなかったし、警察もパトカーもいなかった。
 スマホで読んだニュースにも、どこにもそんな記事はなかった。
 

 と言うことは、つまり……。

「魔法を使って、姿を消したのだ」

「あはは……ですよねー」

 やっぱり、魔法か。便利だなぁ、魔法って……。
 この現実世界にも魔法がありふれてくれたら、どんなに便利で快適だろう。

「我の姿を見ただけで、最弱種族共は怯え、大袈裟に騒ぎ立てる。その後、やれ討伐だ。やれ供物で機嫌を取れだと画策する。あんな面倒、二度と御免だ。……もう、この話はいいだろう」

 心の中で魔法を羨ましいと思う私とは反対に、エヴィエニスは忌々しそうだった。
 私が言い返す前に、この話題を一方的に終わらせてしまった。
 所詮はゲームの中のキャラなのに、妙に人間臭い。
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