ふたりの関係には嘘がある~俺様エリートとの偽装恋愛は溺愛の始まり~
「実松…くん?」
静かにしていたら、ドキドキしている鼓動が聴こえてしまいそうな気がして、名前を呼んでみた。
「なに?恭子」
甘く低い声が私の名を呼んだ。
それを聞いて、ポロッと言葉が出てきた。
「新」
「え?」
実松くんの目が覚めたかのように少しだけ大きく見開いた。
「新って、名前で呼んでもいい?」
「ちょっ、それ、ずるい」
口元が緩んだのを隠すように私の肩に額を付けた実松くんは、深呼吸してから、顔を上げた。
色気と強さが共存する男性的な瞳はまるで獲物を見つけた猛獣のよう。
その瞳に捕らえられて、体は固まり、呼吸を忘れる。
でもそれは束の間。
「キスだけにするつもりだったけど、今日はもう帰さない」
猛獣は甘く囁き、私は懐柔されていった。