ふたりの関係には嘘がある~俺様エリートとの偽装恋愛は溺愛の始まり~
「今年のバレンタインは過去最高だったな」
0時過ぎ。
実松くんは胸元でウトウトしている私の髪を優しく撫でながら、独り言のように呟く。
「幸せいっぱいの結婚式に出て、手作りチョコ貰って、美味しいカクテル飲んで、ベッドカバー貰って、恭子も貰った」
肩が優しく包み込まれる。
擦り寄るように実松くんの胸元に顔を埋めると、心配そうな声が聞こえてきた。
「体。大丈夫?」
下腹部に鈍い痛みはある。
でも、実松くんが優しく丁寧に時間をかけてくれたおかげで、予想していたよりは痛くなかった。
首を左右に振ると、額にキスが落とされた。
「俺、今、すごい幸せだよ」
「私も」
頭はぼんやりしているけど、心も体も経験したことないくらいに温かい。
これが幸せなんだって実感している。
「お礼しなくちゃな」
「そんなのいいよ」
実松くんからはもう十分もらっている。
愛情をたくさん。
これ以上のお礼はない。
「俺がしたいんだ」
言い出したら聞かない。
そういえば実松くんはそういう人だった。
「じゃあ、楽しみにしてるね。お礼。何だろうなー」
微睡みながら独り言のように呟く。
すると答えが返ってきた。
「指輪」
「え?」
目を開けると同時に、実松くんは私の左手を取り、薬指に触れた。
「指輪をプレゼントするよ。何号?」
「9号…って本気?」
一気に目が覚めた。
シーツを胸元で持ち、体を少し起こすと、実松くんは今まで見た中でいちばん優しい笑顔で言った。
「男に二言なし。女にも二言はないよな?」
「誓いの言葉とキス?」
確認するようにして聞けば、実松くんは微笑みながら頷いた。
そしてあの時と同じように首を傾げ、優しく私の唇にキスをした。
「一生幸せにする」
「ずっとそばにいるね」

