ふたりの関係には嘘がある~俺様エリートとの偽装恋愛は溺愛の始まり~
建築家は設計図を書くだけが仕事じゃない。

現場に行き、設計図通りに工事が行われているかを監督管理するのも建築家の大切な仕事だ。

他にも立地条件の調査や施工会社の選定、建築主との契約など。

理想の住まいを完成させるには、やらなければならないことは山ほどある。


「実松くんはいいよね。人の予定を確認してるくらい、暇でさ」


嫌味を言うも、当然のように反論は返ってくる。


「暇なわけないだろ。予定は卓上のカレンダーにごちゃごちゃ書いてあるから分かるんだよ」


綺麗に書いているつもりなのにごちゃごちゃとか言われて。

卓上カレンダーを無言で伏せることで苛立ちを露わにすると、鼻で笑われた。

「そんなイライラしてたら、良いものは絶対に出来ないね」


気持ちを逆撫でしてくる実松くんをキッと睨むと、一転して真面目な顔の実松くんが私を諭す。


「イライラするくらいなら安請け合いするな。千葉は客の理想を追い過ぎなんだよ。時間は待ってくれないし、無理なものは無理って言わないと。ミスが起きてからじゃどうにもならないんだ」

「それは言われなくてもちゃんと分かってるよ」
< 4 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop