ふたりの関係には嘘がある~俺様エリートとの偽装恋愛は溺愛の始まり~
『お礼がしたい。出かけよう』
実松くんの家を訪問した一週間後の週末。
律儀な実松くんから誘いがあった。
大したことはしていないから、と一度は断ったけど、どうしてもお礼がしたいと言われ、普段なら昼まで寝ている体を起こし、約束の9時に事務所前で実松くんの到着を待つことにした。
「お待たせ」
路肩に寄せられた車は白のセダン。
グレーのタートルネックニットにブラックスキニーパンツがシンプルでお洒落な実松くんが降りてきた。
「おはよう」
声をかけると満面の笑みで近寄ってきた。
そのはじけるような眩しい笑顔に体調の回復を見た気がして、私の口角も上がる。
「おはよう。この前はありがとうな。助かったよ」
「元気になって、なにより」
そう言うと、実松くんはまたニコリと微笑んでから、背中側に回った。
「キャメルのチェスターコート。似合ってるけど、シワになるといけないから脱がすぞ」
「またコートのシワの話?ほんと、気にするよね」
褒められたことよりも、いつものセリフに思わず笑ってしまう。
「自分で脱ぐから大丈夫」
実松くんの手を避け、コートを脱ぐ。
白のタートルネックとライトグレーのスカート、黒のショートブーツ姿を実松くんが上から下に見た。
「なに?」
「いや。スカート、珍しいな、って思っただけ」
仕事の時はパンツスタイルだから、休日の出かける時くらい、女性らしくしようと思ってスカートを選んだ。
「変かな?」
「いや。似合ってるよ。スタイルの良さが際立つ」
褒められると普通に嬉しい。
と同時に照れる。
コートを半分に折って手に持つことで、実松くんの視線から体を隠すことにした。