ふたりの関係には嘘がある~俺様エリートとの偽装恋愛は溺愛の始まり~
「全身でもなんでも好きなの選んでいいぞ」
そう言われてもエステなんて受けたことがないからよく分からない。
興味はあっても、時間も値段もそれなりに掛かるし、フルコースなんて言ったら、実松くんを2時間近く放っておくことになる。
「エステはいいよ。ランチ行こう」
踵を返し、来る途中にあったランチ会場へと足を向ける。
でも腕が掴まれてしまった。
「考えてることくらいお見通し。だから強制的に連行します」
グイッと腕を引かれて、サロン内へと押しやられる。
「フルボディーコース。お願いします」
実松くんの声に、エステティシャンが満面の笑みで頷いた。
「かしこまりました」
「いやいや。ちょっと待って。仮にエステ受けるにしても、実松くんはその間、なにしてるの?」
離された手を今度は私が掴むと、実松くんはサラッと言った。
「休憩室で寝てる」
「それなら私も」
そう言ったのに、実松くんは掴んでいる私の手に触れ、耳元に口を寄せて囁いた。
「今より綺麗になられたら困るけど、お前の湯上り姿、男の目を惹きつけちゃってたから」
「それはない」
お客さんは圧倒的に女性が多いし、色気のない私を見るような物好きなんて、いない。
それなのに、実松くんは聞く耳持たず、背中を押す。
「しのごの言わず、いってらっしゃい」
エステティシャンの目の前まで押されてしまえば、もう観念するしかない。
プロに身を任せること70分。
全身のリンパを流し、老廃物を排出するという施術は想像以上に気持ち良くて寝てしまった。