ふたりの関係には嘘がある~俺様エリートとの偽装恋愛は溺愛の始まり~

「どこに行くの?」


話を元に戻す。


「ここから歩いて行けるとこに神社があるんだ。千葉、神社巡りが趣味だったよな?」


たしかにその通り。

でも今日は御朱印帳持って来ていないし、神社仏閣は実松くんの趣味ではないはず。

実松くんはどちらかと言えば近代的な建造物を好む安藤さんタイプだから。


「無理して付き合ってくれなくてもいいよ」

「無理なんてしてないよ。千葉のための1日だし、千葉の好きなもの、俺も好きになりたいから」


…なんて言っても、本堂の場所やおみくじの場所を知っているところを見てしまえば、実松くんの言葉の説得力は低い。

反対に、元カノとの思い出の場所を巡らされている感が強くて、どうにも遣る瀬無い気持ちになった。


「どうした?」


おみくじを枝に結び付けていると、実松くんが私の顔を覗き込んできた。


「ぼんやりしてるけど。疲れたか?」

「え?あー、うん。ごめん。湯当たりかな。ほら、食事後にもう一回入っちゃったから。なんか体が怠い」


嘘ではない嘘をついた。

元カノの気配に胸をざわつかせて、気がそぞろだ、なんて言えないから。


「それなら、もう帰るか」


実松くんの言葉に頷き、来た道を戻る。

その途中、登り坂に差し掛かった時、実松くんは私に手を差し出した。


「ほら。手。引いてってやるよ」

「そこまで疲れてないよ」


実松くんの顔は見ず、笑顔で断り、登り坂へと足を踏み出す。

でも実松くんは無理矢理手を繋いできた。


「平気だよ。ひとりで歩ける」


反対の手で繋がれた手に触れ、離してもらうよう態度で示す。


「離さないよ。俺はお前と手、繋ぎたいんだから」


立ち止まり、力を込めて握られた手。

そこから視線を上げると、実松くんは真剣な表情で真っ直ぐ私を見て言った。


「告白の返事、聞かせてもらってもいいか?」

「今、それを聞くの?」


15時とは言え、1月の外気温は一桁だ。

寒いし、唐突過ぎる。

この胸のうちに宿っている感情がなにか、よく分かっていないし。

それに…

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