ふたりの関係には嘘がある~俺様エリートとの偽装恋愛は溺愛の始まり~
「秘密基地の件。内装で魅せてみろ。恭子はそういうの得意だろ?その方法を選択すれば考える時間は多少伸びる」
なるほど。
設計を変えなければ期限は関係ないということだ。
そうなると、リビングにブランコを吊るのは柱の強度を上げなければならないから今から変えるには難しい。
ツリーハウスも、構造からやり直しだから無理。
となると……
「階段下」
設計図上から実松くんの声に顔を上げると、彼は階段下の収納スペースを指差した。
「ここのスペースを子供の遊び場にするのはどうだ?千葉の設計は収納スペースを他にたくさん作っているから、1箇所くらいなくたって平気だろ」
「そう、だね。うん!いいかも」
子供が成長して使わなくなったら収納スペースにすればいいし、インテリアでどうにでもなる。
そしてなにより秘密基地っぽい。
「ありがとう!」
実松くんにお礼を伝えつつ、施主に確認を取るべく、鞄の中にあるスマートフォンを探る。
「お前は鞄の中身、全部出さないとスマホ出せないのかよ!」
実松くんの小言なんてなんのその。
施主に連絡し、無事、了承を得ることが出来た。