恋を忘れた君に
ドラマとかでよく聞く台詞。
本当に言われる日が来るなんて・・・。
当時の私はそんなに強い訳でもなかったし、言い返したら余計に面倒な事に発展すると思ったので、ただただ俯いて黙っていた。
「黙ってないでなんとか言ったら?」
黙っていても面倒な方に発展してしまった。
もうどうすれば良いんだろう。
私の生活は前とは変わらず、調子に乗っているつもりなんて全くなかった。
ぐるぐると考えている間にも色々な事を言われていたが、対処出来なかった。
そのうちリーダーであろう女の子が寄って来て、私を突き飛ばした。
「きゃ・・・!」
バランスを崩し、其の儘地面に尻もちをついてしまった。
「あ、はは!どんくさすぎー、それとも悲劇のヒロインぶってる訳?そう言う所もほんっとにうざい!」
続いて彼女は手を振り上げた。
殴られる、と思い強く目を瞑った。
「何やってんだよ!」
聞き覚えのある声に目を開けると、そこに絢人が居た。
怖くて無意識のうちに震えていた所為か、上手く立ち上がる事が出来ない。
絢人は私の方に近づいてくると、両手を掴み、立ち上がらせてくれた。
そのまま教室の外へ連れ出され、兎に角人気のない所に連れて行ってくれた。
後ろがざわざわしていたが振り返る余裕はなかった。
二人きりになると、涙は急に溢れ出し、止まる事を知らなかった。
その後の事はあまり覚えていない。
絢人のお陰で私への嫌がらせも収まる。
と、そう思っていたけれど、正解は真反対だった。
何もして来なかった子、前迄仲良くしていた子達迄も、陰口を叩いたりするようになった。
一緒に居てくれていた子達の私物を隠されたり、捨てられたりする様に迄なっていた。