ただのワガママでしょうか。
「大丈夫です。なんとお呼びしたら良いですか?」
と私は慌てて返した。

「好きに呼んでください。」
そう言って彼はビールを口に運んだ。
好きにと言われても、私は、自己紹介を全く覚えていなかった。
自分にはどこか無関係で、今日さえ、この時間さえ、しのげればいいだろうと単純に考えて
いたのであった。
そんな私は、正直に名前を覚えていないことを話した。
彼は、「こんなの初めてだ」とものすごい勢いで笑い始め、
気づいたら彼は、私の隣に座り、自己紹介からもう一度してくれた。

彼は、野村大嗣 26歳 であることがわかった。

野村さんと読んだら、なんか嫌だなというので、
だいちゃんと呼ぶことにした。
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