フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
そして、付き合い始めて五年が経った。
高校生のときに初めての彼氏ができて、そのあと何人かとそういう仲になってきたけれども、こんなに長く一人の男と同じ時間を過ごしたことはなかった。
アラサーとなったわたしの心の中には、そろそろ「結婚」という文字が浮かんできていた。
だれも跡を継がない実家の稼業を憂いた父からの「お見合い強制」も熾烈を極めていて、芸能界から強制的に引退させようと画策し、何度も父の手先の者から「拉致」されそうになった。
とは言え——
彼はアイドルとは言わないまでも適齢期の女性をターゲットにした「人気俳優」だ。
結婚したことによって彼のファンが離れていき、その人気に影が差す「原因」にはなりたくなかった。
だけど、相変わらず二人のスケジュールが合わない日々が続く。
それところか、ますますひどくなってきた気がする。
だったら、少しでもいっしょにいられるのなら別に同棲でもいいかな、と思っていたその矢先——