フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
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アール・ヌーヴォー風に蔦が絡まるイメージで造られた黒鉄の門扉の向こうには、三人の男の人たちがいた。
そのうちの一人が……
わたしがかつて付き合っていた男だった。
——でも、なぜスタッフではない「演者」の彼がここに……?
このノースエリアの自治会は、政財界の重責ある役職を引退して心穏やかにゆっくりと余生を過ごす重鎮——「御隠居」たちが役員を占めている。
それでなくともセキュリティが半端なく厳しいノースエリアなのに、よりにもよって御隠居たちが毛嫌いするマスコミ関係者のために出入り口のゲートを開ける許可を申請しなければいけなかった。
マネージャーの村田には、来訪するのは下請けの制作会社の人ではなく本社のテレビ局のそれなりの地位の人でないと引き受けられないと、キッパリ言っておいた。
もし何か問題が起こった場合、その責任を背負って処理できるのはテレビ局くらい大きな組織でないと無理だと思ったからだ。
——まぁ、ゲートを開けてもらうためのめんどくさい手続きは小笠原に丸投げしたんだけれども……
わたしは水道の蛇口を閉めてホースを手早く束ねると、玄関先から門扉に向かった。
「おはようございます。LEIKAさんですね?」
いちばん年嵩だと思われる男性が声をかけてきた。
「JAPANテレビの東と申します。
ドラマ・映画制作部の企画部長をしております。
本日はお忙しい中、無理を申しまして誠に申し訳ありません」
開錠して門扉を開けると、東と名乗った人が名刺を差し出してきた。
「おはようございます。同じくJAPANテレビの加藤と申します。
ドラマ・映画制作部でチーフプロデューサーをしております。どうぞよろしくお願いします」
加藤と名乗ったその人もまた、名刺を差し出してきた。
そして——
「おはようございます。俳優の風間 優雅です。
名刺は持ち合わせていなくて、すいません」
最後に彼が挨拶をした。