フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
と同時に、こうも思った。
——わたしは……風間に裏切られていたわけじゃなかったんだ……
あのとき、何の前触れもなく唐突に彼らが結婚発表したのはそういう理由だったのかと、妙にすとんと腑に落ちた。
だからといって、あの頃地獄のどん底まで堕ちに堕ちまくったわたしの「心」が、浮かび上がって再び陽の目を見ることは決してない。
そして……
偽装結婚する選択をさせてしまうほど、風間を追い詰めてしまった父のことは……
——この生涯……いや、何度生まれ変わっても赦すまじ!
「……じゃあ、あなたと八坂 今日子は婚姻届を出していない『事実婚』ってわけ……?」
「いや……初めはそのつもりだったけど、今日子が突然日帰りで京都へ行ってきたかと思えば、
『やっぱり、入籍しなきゃ写真週刊誌に嗅ぎつけられちゃうわっ!』
って言い出して……押し切られて出した」
——なんだ、ちゃんと戸籍上の夫婦じゃんっ!
「じゃあ……いわゆる『白い結婚』?」
センシティブなことだが、ズバリ訊いた。
「いや……それも、初めはそのつもりだったけど……入籍した夜に、今日子がいきなりおれの寝室に乱入してきて……
『今日から夫婦になったんだから、ちゃんとケジメはつけましょう!』
って言われて、押し切られた結果……」
——はあぁっ⁉︎
カラダの上でも、歴とした夫婦じゃんよっ‼︎
うちのようなカラダの関係のカケラもない「正真正銘の」政略結婚&契約結婚&偽装結婚&白い結婚にとっては、風上にも置けない「杜撰さ」である。
「……で、何なの?
あなたはそんなことを言うために、わざわざここへ来たの?」
わたしはぎろり、と風間を睨んだ。
——なんだかんだ言いつつも、結局のところは偽装結婚ではなく「普通の結婚」を継続させてるじゃんよっ!
「レイカ……おれは……」
風間が縋るような目でわたしを見つめる。
「今日子とは四年ほど結婚生活を送ってきたけれど……やっぱり、無理なんだ」
——えっ、今さら?
「おまえと話しているときのような『素』の自分を……今日子の前では……どうしても出せないんだ」
八坂 今日子は、いかにも女優然とした華やかな「女豹」タイプである。
京都へもパッと日帰りで行っちゃうくらいだから、思い立って少しでも時間があったら即行動のアグレッシブさなんだろう。
ごくたまにある休日にはずっと大好きなカメラのメンテなどをしてのんびりと過ごしたいインドアな風間とは、趣味・趣向が合うと思えないけれども……
「そりゃあ、わたしは八坂 今日子みたいに芸能界でブレイクしてるわけじゃないから、気を張ることなく話しやすいでしょうよ」
——日本マカデミー賞で最優秀主演女優賞を獲っているあなたの奥さんと比較しないでよっ!
「……おまえ、ほんっとに自分のこと理解ってないのな?」