フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】

「……なぜ、ここへ?」

神宮寺先生が胡乱(うろん)げに八坂 今日子を見た。

「招待状は出していなかったはずだがな」

——えっ、八坂 今日子ってば、招待状もなしにこのパーティ会場に入ってきちゃったの……?

しかも、彼女と神宮寺先生は以前に「浮名」を流していて、さんざん世間を騒がせた仲だというのに——


「あら、拓真ったら、わたしが優雅(ひろまさ)と結婚したからって、遠慮して送って来なかったんでしょ?」

ところが、八坂 今日子はまったく意に介すことなく、ふふふ…と妖艶に微笑んだ。

すっかり体得したと思っていたわたしの「女優スマイル」だったが……「本職」とは似て非なるものだと思い知らされた。


ちなみに「優雅」とは、わたしを振って八坂 今日子と結婚した俳優・風間 優雅である。

妻となった八坂 今日子が、あの当時わたしの「存在」をどこまで知っていたのかは不明だが、今はわたしにだって一応「夫」がいる。

知られてうれしい「過去」でないのは確かだ。

——「女優スマイル」は中途半端だったけれども、せめて「モデル」として華麗にスルーを決め込まなくっちゃ!


「はあ? 遠慮なんかするわけねえだろうが。『普通に』招待してねえんだよ。
……ったく、今日は栞が出席してなかったからよかったものの——」
「へぇ、夫の出版披露パーティにも出席しないなんて、あなたたちもしかして離婚危機なんじゃないの?」

八坂 今日子が神宮寺先生を遮って口を挟んだ。

「はあぁ? 何を言ってやがる。
栞は臨月だから、大事をとって欠席させたんだ。離婚どころか今は幸せの絶頂だよ」

すると、なぜか八坂 今日子が不敵な笑みを浮かべた。

「そうかしら?妻の妊娠中に他のオンナに目を向けるって、よくある話じゃない?
……ということは、わたしにとってはチャンス到来ってわけね」

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