フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
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それは、結婚式の翌日に小笠原が去って一週間ほど過ぎた頃だ。
突然、わたしのスマホに見知らぬ番号から通話が来た。
普段ならそんな通話には絶対に出ないけれども……
——もしかして……「仕事」の依頼かも……?
老舗百貨店の御曹司との結婚によって、あわよくば「セレブ妻」としてモデル業界へ還り咲きできるかも、と目論んでいたわたしに魔が差した瞬間だった。
当時のわたしは……
モデルとして何の経験も積まず、ただ結婚して子どもを産んだというだけで「読者モデル」と称し……
カメラマンがシャッターを切るショットごとにポージングを変えられないどころか、どのページをめくってもワンパターンの満開の笑顔しかできないにもかかわらず……
三十代以降をターゲットにしたファッション雑誌に専属として起用されている彼女たちを、心の底から忌み嫌い……
そして——嫉ましく思っていた。
だから、なんとしてもまたあの舞台へ戻って、彼女たちにプロとしてのスチールモデルの「仕事」を見せつけてやりたかった。
そう、これでも二十代をまるごとかけて続けてきたのだ。
わたしにとって自信を持ってやれる、唯一の仕事だった。
また、家の都合で突如決められたこの「政略結婚」を受け入れるにあたっての、わたしにとっては唯一の利点であった。