フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】

小笠原は大坂百貨店では全国の店舗の経営方針を立案する「営業政策室」に属し、若くして責任者である室長に任じられていた。

ゆくゆくは社長の座に就く「御曹司」にとって、避けては通れない「登竜門」のような役職だという。

テンシが所属する長澤不動産の経営企画部に似た部署だと思われる。

——会社勤めの経験のないわたしには、それらの御役目がどういったものなのか、まーったくわかんないけどね……


『えっ、あ……はい』

と応じたはいいが、わたしははたと困った。

——だけど、この場合……なんて返せばいいのかしら?

政略結婚といえども一応は「夫」の会社の人が相手なのだから、
「いつも主人がお世話になっております」
とか言うのだろうか……?


『佐久間様へ、お伝えしなければならないことがございます』

しかし、そんなことは杞憂だった。

彼女がさっさと「用件」を話し始めたからだ。


『実は、オープン間近の中国の上海店でトラブルが発生いたしまして、日本(こちら)側の総責任者である室長が、しばらく現地へ赴任して対処することになりました』

——はぁ?

『現地』って中国の上海だよね?

なんとなく、行く先は大坂百貨店の本店である梅田(みせ)だと思ってしまっていたから、さすがにびっくりした。


——いくら政略結婚とはいえ、わたしたち一応「新婚」なんですけど……⁉︎

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