フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
「あぁっ、しっとりとした 烤鴨餅に包まれたバリバリの北京ダックの皮に、添えられた甘くて辛くてほのかに酸っぱいソース、なんて美味しいの……⁉︎」
ほかにもローレンの伝統的な技能に支えられた繊細かつ大胆なヌーベルシノワに、わたしは全力で舌鼓を打ちまくっていた。
しかも大きな窓に面した個室で一人、その窓の向こうに広がるベリが浜の夜景を高層階から愛でつつ、ゆったりと心行くまでお料理を堪能できるなんて贅沢の極みだ。
——しかしながら、ここがロマンチックなデートを演出するのにも最適なお部屋であるということは、いったん置いておく……
「ありがとう、ローレン。
おかげで今日もすごく美味しかったわ!大満足よ‼︎」
コース料理をぺろりと平らげたうえに紹興酒までしっかり呑んだわたしは、差し出されたお会計のカードにサラサラっとサインした。
これもまた、このあとホテルの会計に回されて、最終的には宿泊費と一緒に父の許もとへ請求される。
「それはどうもありがとうございます。
これからもレイカさまにそうおっしゃってもらえるよう、ますます励みますね」
お見送りの挨拶のために個室に顔を出したローレンが、丁寧にお辞儀する。
「それじゃ、また来るわね」
最高にご機嫌な気分になってタクシーでホテルに戻ってきたわたしは、ふわふわした足取りでエレベーターに乗ってラグジュアリーフロアに降り立ち、鼻歌交じりでプレミアスイートの「我が家」へと向かった。
ドアの前でショルダーストラップのお財布「コンスタンス・トゥーゴー」からカードキーを取り出し、ピッと開錠する。
——とりあえず、バスタブにお湯を張ってゆっくりと浸かろうかな……
そう思って、ドアを開けて部屋の中へ入ろうとしたそのとき……