フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
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彼との出逢いは、わたしが雑誌の静止画だけでなく東京ギャルズコレクションのランウェイステージを「ショーモデル」として歩いていた頃——
現在にして思えば、わたしが「モデル」として最盛期のときだった。
専属雑誌だったGanGamの企画【憧れの先輩教育係に「キミ、センスあるね」と褒めてもらえる⁉︎ オフィスでの(月)〜(金)コーデ♡】で、彼が「憧れの先輩教育係」として撮影場所に現れたのが初対面である。
学生時代に街でスカウトされてバイト感覚で雑誌モデルとして芸能界に入った彼であったが、誘われてたまたま出演した映画がきっかけで演技することの素晴らしさを知り、俳優としてこの世界で生きていこうと一般企業に就職することなく大学を卒業した。
けれども、その頃の彼は雑誌モデルの傍らようやくテレビドラマに「主役の友だち」役で出演し始めたくらいで、さすがに容姿は良かったものの、わたしの目には「華」があるようには見えなかった。
この世界でこの程度のイケメンは掃いて捨てるほどいるからだ。
その時のわたしたちは、仕事上の必要最低限の会話をするだけで終わった。
しばらくして、彼はその局を代表するドラマ枠で二番手の配役を射止めた。
いわゆる「当て馬」的なポジションであるにもかかわらず、当時演技派と言われた若手女優が演じるヒロインをバックハグして「あいつじゃなくて……おれじゃダメか?」と哀しげにささやく場面が、観ている女子たちの心臓を鷲掴みにした。
明らかに一番手の主役俳優を凌駕してしまっていて、ラストで台本通りヒーローを選んだヒロインに視聴者から抗議が殺到した。
彼は瞬く間に雑誌unun の「抱かれたい男」ナンバーワンの座に駆け上がっていった。
それからは、次から次へと「一番手のヒーロー」役が舞い込むようになった。
テレビドラマだけでなく、念願の映画の主演依頼もどんどん来た。
そんな彼と、わたしは東京ギャルズコレクションのショーモデルの仕事で再会した。