フルール・マリエ


「本当に叔母さんに会ってくれない?」

仕事終わりに千紘と食事をしていると、食後のコーヒーを飲んでいた千紘が言う。

「それは、彼女ですってことで?」

「もちろん。やっぱり会わせないと気が済まないみたいなんだ」

千紘と付き合い始めたのはつい最近。

仕事も忙しくて、こうして仕事帰り、たまに夕食を一緒に食べるか休日に出かけられれば出かけるが、まだまだ付き合いは浅い。

「私、大丈夫?叔母さんの合格点貰える可能性何%?」

「合格点貰う必要ある?」

「あるでしょう。貰えないと、別れなさいってことになるかもよ」

「俺と別れたくないって思ってくれるんだ?」

「真面目な話してるんだけど」

こっちは千紘の親戚に会うかもしれなくて、既に緊張し始めているのに、千紘は私のその反応を楽しむかのように微笑を浮かべている。

「もし、何か言ってくるようでも関係ないし、無駄だよ。俺は聖じゃないとだめなんだから」

千紘の言葉にくらくらする。

周りの喧騒すら霞むほどに、私の頭の中を千紘の声だけが支配するようだ。

「俺が聖を守るから、安心して」

千紘は無自覚に、私を思い通りにする方法を心得ているんじゃないかと思うほど、私は簡単にほだされて、千紘の言葉に甘やかされて、結局は頷いてしまうのだ。



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